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フィンエアーの新日本支社長、倉田博樹氏のビジョンとは

今年7月よりフィンエアー日本支社で指揮を取る倉田博樹 日本支社長が、10月8日にメディアを前に語った。米国・豪州・中東の航空会社で要職を歴任してきた倉田氏、フィンエアーでの戦略とは。

文:山田 亮(本誌編集部)
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名古屋と欧州を唯一直行で結ぶ、中部国際空港に駐機するフィンエアーのA350-900。フィンエアーと日本市場の関係性を語る象徴的な路線といえる。
Photo:Yoshioka Atsushi

2026年夏スケジュールからは、さらに欧州域内のネットワークが充実

 これまで多くのエアラインの第一線で活躍してきた倉田氏、「フィンエアーに勤務する知人からアットホームな社風であると聞いていました」という。就任に際しては自身初のフィンエアー体験が実現して、「これまで勤務してきたエアラインに比べると、より一層、お客さまの視点に合わせた接客が印象に残りました」と語る。これは乗客に寄り添うサービスという意味だけでなく、より物理的な意味でも、たとえば日本の航空会社がそうであるように(上からではなく)目と目の高さを合わせてコミュニケーションするようなところに、フィンエアーならではの美点を感じたそうだ。

 「2025年には大阪(関西)就航30周年を迎えました。2年前の2023年には成田線が40周年、来年2026年は名古屋(中部)線が20周年を迎えます」と、記念すべき節目が相次ぐタイミングで、倉田氏は日本支社長に就任した。

 「現在の夏スケジュールでは羽田・成田・関西を週7便、中部を週4便の計25便で運航しています。この数字は、フィンエアーがいかに日本のマーケットに力を入れているかという証明でもあります」と語る。来年の2026年夏スケジュールではヘルシンキからの乗り継ぎネットワークがさらに拡大し、「アルタ(ノルウェー)、バレンシア(スペイン)、フィレンツェ(イタリア)などへの新路線が開設されることで、ますます日本の皆さまに喜んでいただけると思います」と自信を見せる。

デルタ航空、アメリカン航空、ヴァージン・オーストラリア航空、エミレーツ航空を経て、今年7月より現職に就いたフィンエアー日本支社長の倉田博樹氏。フィンエアーで3か月勤務してみて、アットホームな社風と旅行会社との関係性の強さを実感しているという。JALとのジョイントビジネス推進についても、重要性を強調していた。
Photo:AIRLINE

若年層の海外旅行需要を創出するため、教育旅行への期待

 一方、現在の日本マーケットが抱える若年層の海外旅行離れという問題に対しては、このように語る。「旅行会社のお力も借りて、教育旅行と留学の需要を取り込んでいきたいです。フィンランドは教育に力を入れている国です。現在の日本ではパスポートホルダーの割合も低迷していますが、中学生から大学院生まで、若い方々に海外への関心を持っていただくための投資としても有効と考えています」と、この需要を新しいフィンエアー日本路線の柱へと育てていきたい考えだ。

 なお、この日集まったメディア関係者からは、かつて運航していた福岡線や新千歳線の再開可能性についても質問が及び、現在のところその計画はないものの、両空港運営会社とのコミュニケーションについては継続しているとのことであった。また、夏スケジュールで週4便を運航する中部線のデイリー化についても質問が出たが、来年の夏スケジュールも同じ便数での運航継続を予定している。この中部線については、「トヨタ自動車をはじめとする企業の出張需要により、日本人旅客の比率が高いという特徴があります」とのことである。

この日はアジア担当バイスプレジデントのパシ・クーシスト氏も同席。前任地のダラス(北米地区総支配人)から今年、東京に拠点を移し9か月が経った。「日本路線はアジア最大のマーケットですから、強いローカルチームを持つことがとても大切です。私が東京で仕事をするのはとても自然なこと」と語る。
Photo:AIRLINE
今年7月よりフィンエアー日本支社で指揮を取る倉田博樹 日本支社長が、10月8日にメディアを前に語った。米国・豪州・中東の航空会社で要職を歴任してきた倉田氏、フィンエアーでの戦略とは。