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アジア初、ANA 777-300ERに空気抵抗低減のサメ肌 「AeroSHARK」 実装機が登場!

リブレット加工フィルム(AeroSHARK)は、摩擦抵抗を低減するサメ肌の構造に着想を得た機能性表面フィルムで、実装することにより燃料消費量およびCO2排出量の削減効果が認められている。今回、777Fに続きこの技術を777-300ERにも採用したANA。旅客機・フレイターの両方へ導入した航空会社としては同社が世界初となる。

文:阿施光南 写真:阿施光南
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プッシュバックされるJA796A。光の反射によってAeroSHARKの貼付がわかるが、普通の光線状態ではまったくわからなくなる。

777Fに続き、旅客型777も胴体の約70%にサメ肌をまとった!

 4月26日、ANAは機体の空気抵抗を小さくするリブレット加工フィルム「AeroSHARK(エアロシャーク)」を胴体の約70%に貼り付けた777-300ER(JA796A)を就航させた。

 ANAでは2024年9月から同じAeroSHARKを貼り付けた777F貨物機(JA771F)を運航しているが、旅客機への実装・就航はアジアでは初となる。

 AeroSHARKはルフトハンザ・グループの整備会社ルフトハンザ テクニックと、化学薬品・塗料メーカーのBASFが共同開発した透明な機能性フィルムだ。表面にはサメ肌に着想を得た深さ50μm(5/100㎜)程度の凹凸がつけられており、燃料消費量とCO2排出量を約1%(1機あたり年間約250トンの燃料と約800トンのCO2)抑制できるという。

 今回、777-300ERに使われたAeroSHARKは、昨年から運航中の777Fと同じだが、777-300ERは胴体が長いので枚数は多くなっている。ちなみに777Fでは約200枚のAeroSHARKを貼ることで重量が約120kg増加したが、それを差し引いても約1%の燃費向上の効果がある。

AeroSHARKには気流に沿って抵抗を減らすのに適した向きがあるため、主翼周辺には斜めに貼られている部分もある。
登録記号より後方の胴体にはAeroSHARKは貼付されておらず、反射の違いによってブルーの部分の色が変わって見える。
ゲート付近に展示されたAeroSHARKに触れることができるパネル。サメ肌のようにザラザラしたものではないのが意外だった。

「サメ肌」というほどザラザラではない感触

 就航初便となったのは、羽田発ロンドン行きのNH211便。当日はゲート付近にAeroSHARKを貼ったパネルが展示されて実際に触ることができたが、「サメ肌」という言葉から想像されるザラザラしたものではなく、普通の紙くらいの感触。

 リブレットは気流に対して抵抗が小さくなる向きに加工されているが、いろいろな方向に指を滑らせてみても感触の違いはよくわからなかった。もちろん平滑な金属肌とは明らかに違う感触であり、外観上は光の反射の違いによって「貼ってあるところがわかる(こともある)」という程度だ。

 こうした「目立たなさ」は旅客機の美観には重要といえるが、ANAはL1ドアとL2ドアの横にデカールを貼り、乗客にAeroSHARK実装機であることをアピールしている。

AeroSHARKの導入を担当してきたANA整備センター技術部787フリートチームの松井宏司朗マネージャー。JA796AへのAeroSHARK貼付は海外の委託整備会社で行なわれたが、日本のANAの整備工場でも行なうことはできるという。
L1ドアとL2ドアの横に貼られたデカール。機内にもAeroSHARKに触れるパネルが用意され、紹介動画のプログラムも用意されている。
昨年からAeroSHARKを実装した777Fと基本的には同じだが、777-300ERは胴体が長いので枚数は多くなっている。777Fの重量は約200枚のAeroSHARKを貼ることで約120kg増加していたが、それを差し引いても約1%の燃費向上の効果がある。
リブレット加工フィルム(AeroSHARK)は、摩擦抵抗を低減するサメ肌の構造に着想を得た機能性表面フィルムで、実装することにより燃料消費量およびCO2排出量の削減効果が認められている。今回、777Fに続きこの技術を777-300ERにも採用したANA。旅客機・フレイターの両方へ導入した航空会社としては同社が世界初となる。

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