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2024年夏、香港国際空港で747フレイターを撮る!

月刊エアラインの連載「ボーイング747の最前線」を担当し、ジャンボを求めて世界を飛び回る芳岡カメラマン。今回の遠征先はアジアの貨物ハブ、香港でした。そのハブの規模を象徴するように大型貨物機が多数発着する香港国際空港。魅力あるジャンボ・フレイターたちを捉えるために知っておきたい、最新の撮影環境を紹介します。

文:芳岡 淳 写真:芳岡 淳
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「HAECOポイント」はRWY25Lから離陸する大型機を山バックで撮影できるのが魅力。作例は35mm換算151mmで撮影。

撮影場所が限られる夏の香港国際空港

 6月下旬、私にとって6年ぶりとなる香港遠征を決行しました。“アジアの貨物ハブ”と言われる香港は貨物機のトラフィックが充実しており、時間帯を問わず747をはじめとする大型機が多数発着します。それらを、すぐ近くの背景に迫る山や高層ビル群とともに写した作品は、撮影派マニアにはおなじみの人気のカットです。コロナ禍を経て、2022年11月には第3滑走路が供用を開始するなど変化が多い香港ですが、今回は最新の撮影環境について紹介していきます。

 まず大前提として、香港は夏と冬で撮影に向いているポイントが異なります。これは太陽の動きによるもので、夏の場合、空港西側(RWY07エンド側)の撮影ポイントにおいて午前中から撮影に適したポイントは存在せず、15時以降が撮影に最適な時間帯となります。

撮影ポイントはHAECO(Hong Kong Aircraft Engineering Company)社のハンガーのすぐ近く。ハンガー前にはメンテナンスのために飛来するレアビジターの姿が時おり見られます。

その夏の香港で唯一の撮影地、HAECOポイント

 今回、メインの撮影場所に選んだのは、昔から夏場の撮影地の定番である通称「HAECOポイント」です。香港国際空港に拠点を置く整備会社HAECO社のハンガーのすぐ近くに位置することからこの名が付けられています。ここは山側のRWY25Lから離陸する機体を撮影するのに適しており、離陸重量の重い貨物機と背景の山を絡めることができるのです。

 この場所は第3滑走路の供用開始以前から環境の変化はなく、立ち位置を工夫することでクリアな絵を狙うことができます。HAECOポイントへのアクセス手段はバスのみとなっており、空港ターミナルからの場合はS1系統で東涌駅へと向かい、そこからS52系統へと乗り換えて終点まで乗車します。Googleマップで経路検索もできるため、はじめての香港遠征におすすめの場所です。

※現在の香港国際空港のレイアウトは、以下のAIPチャートでご確認ください。
https://www.ais.gov.hk/eaip_20240613/2024-06-13-000000/pdf/VH-AD-2-VHHH-ADC-1.pdf

撮影ポイント全景。空港側には高いフェンスが存在しますが、よほど低い上がりでない限り、浮いている機体の撮影には影響ありません。

ここで狙うは、離陸する重量級の大型フレイター

 なお、このポイントで背景の山と絡められるのは、前記した通り離陸重量の重い機体のみであるため、そのターゲットは貨物機が中心になります。香港国際空港のホームページ上では、貨物便も含めてリアルタイムの状況を反映した時刻表も公開されているので、そちらを参考にすると良いでしょう。

https://www.hongkongairport.com/en/flights/departures/cargo.page

 注意点としては、周辺に店舗や自動販売機が一切存在しないだけでなく、夏場は厳しい暑さと湿度との戦いになるため、撮影ポイントへと向かう前にコンビニ等で十分な水分、食料を購入して持参する必要があります。今回、私は猛暑での撮影に備えて冷蔵服を購入してみたのですが、体感温度が下がり負担を軽減することができました。こちらもおすすめです。

外周の道路は滑走路と平行しておらず、RWY07R側に向かうにつれて滑走路に近くなるため、低い離陸が予想される機体はエンド側に寄って立ち位置を調整するのがおすすめ。

はるか遠い海側のランウェイ、撮れない着陸機

 このHAECOポイントは昔と変わらず撮影ができますが、残念なことに、ターミナル直結でかつて最も定番の撮影スポットであった「スカイデッキ」が閉鎖されて以降は、RWY07使用時の手頃な撮影ポイントは皆無といえる状況になってしまいました。

 また、滑走路の運用もRWY07R/25L(山側)が離陸用、RWY07L/25R(海側=新設の第3滑走路)が着陸用と分けられているため分かりやすくはなっていますが、遠く海側に新設された第3滑走路の着陸機を撮影することは、季節を問わず困難であると言えるでしょう。かつての海側滑走路であるRWY07C/25Cは現在工事中のためクローズされていますが、今後オープンした際にはどのような運用になるのか、気になるところです。

 このように夏場の撮影においては、実質的に15時以降、RWY25運用時のHAECOポイントに限られる撮影環境ですが、それでも夕方の美しい光線とともに、日本では見られない航空会社も含めた多数の大型貨物機たちを山バックで撮影できることは大きな魅力で、これだけのために行く価値も大いにあると感じます。

 この先、南側の撮影ポイントが順光となる冬季には、俯瞰したアングルで撮影できる沙螺湾から狙いたいと考えています。またご報告します。

ターミナル内「Sky Bridge」での撮影にも挑戦!

保安検査を通過して直進すると右手に見えてくるSky Bridge。案内に沿って簡単に辿り着くことができますが、真下方向の撮影は二重ガラスな上、2枚目のガラスが傾斜しており、かつ離れていることから、反射を避けての撮影は忍者レフを使用しても困難でした。
それでも“誘導路の真上から”という斬新なアングルで撮影できるので、面白さがある新撮影スポットです。
月刊エアラインの連載「ボーイング747の最前線」を担当し、ジャンボを求めて世界を飛び回る芳岡カメラマン。今回の遠征先はアジアの貨物ハブ、香港でした。そのハブの規模を象徴するように大型貨物機が多数発着する香港国際空港。魅力あるジャンボ・フレイターたちを捉えるために知っておきたい、最新の撮影環境を紹介します。

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