特集/本誌より

鳥取砂丘コナン空港フェスタ「ヒコーキ写真セミナー&撮影会」〜レンズを通して知る、翼を支えるプロたちの情熱〜

9月20日、「鳥取砂丘コナン空港フェスタ2025」の会場で行なわれた「ヒコーキ写真セミナー&撮影会」。その講師を務めた鳥取空港を本拠地とする航空写真作家、T.Fujiba氏からレポートが届いた。

文:T.Fujiba(藤林敏啓) 写真:T.Fujiba(藤林敏啓)
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毎年恒例のグラスエリアからの離着陸見学。今年はANAの整備士がアテンド役を務めた。

滑走路脇のグラスエリアで間近に見る、迫力の離着陸シーン

 連日の酷暑も一旦落ち着き、時折晴れ間が覗く過ごしやすい空模様となった9月20日(日)、鳥取砂丘コナン空港では恒例の空の日イベント、「鳥取砂丘コナン空港フェスタ2025」が開催された。普段は立ち入ることのできないエリアが開放され、多くの航空ファンや家族連れで賑わうこのイベント。名物ともいえるグラスエリアから眺める迫力満点の離着陸シーン見学など、参加者に飛行機をより深く、身近に感じる機会を提供した。

 数ある催しの中では、ANA鳥取空港所の企画として、筆者(航空写真作家 T.Fujiba)が講師を務める「ヒコーキ写真セミナー&撮影会」も実施された。雨天予報に伴うキャンセルもあり9名での開催となったが、むしろ講師と参加者の距離が近くなり、こじんまりとしながらも和やかな雰囲気のセミナーとなった。

 まず行なわれた40分の座学では、ヒコーキ写真撮影の基礎知識から、鳥取空港ならではの撮影ポイントまで、筆者が撮影した作例を交えながら解説。参加者は熱心に耳を傾け、来るべき撮影会への期待に胸を膨ませていた。

鳥取空港でのヒコーキ写真を作例とともに解説する筆者。セミナー中にC-2輸送機やNH295便の着陸があり、つい気になってしまう一幕も。
Photo:Hara Kenichi

いよいよ撮影会スタート! 目の前には羽田行きNH298便が出発を待つ

 座学終了後、セミナー参加者一行は安全確保のために定められたオレンジ色のベストを着用し、気持ちを引き締めて特別に許可された場所へと移動。目の前には、これから出発準備に入る15:35発のNH298便が駐機する。

 参加者は、出発準備からプッシュバック、そして滑走路へのタキシングを普段は見ることのできない真正面から望み、テイクオフしていく姿を夢中でシャッターに収めた。

 この撮影会ではANAの整備士がアテンド。参加者からは機体の構造や運用に関する様々な質問が飛び交い、整備士が一つひとつ丁寧に答える姿が印象的だった。撮影だけでなく、ヒコーキそのものへの理解を深める貴重な時間となった。

撮影会の様子。参加者たちは思い思いに、プッシュバックする機体にカメラを向けていた。

イベントを支えてくれたANAスタッフたちの情熱

 このように、このイベントを支えてくれたANAスタッフの情熱も特筆すべき点だ。

 ANA鳥取空港所の三沢所長によると、「整備士たち18名は、東京からボランティアで駆けつけてくれました。当日の日帰り往復、前泊、後泊とスケジュールを調整しながらも、鳥取空港の大変な盛り上がりと来場された多くのお客さまからのお声かけなど、非常に驚き楽しんで帰ってくれました」とのこと。

 現場の最前線で安全を支えるプロフェッショナルたちの温かいおもてなしが、イベントの成功に大きく貢献していたのだ。

 このほか、エプロンでは航空自衛隊美保基地所属のC-2輸送機をバックに、鳥取の伝統芸能「傘踊り」が披露されるなど、随所に工夫を凝らした催しが来場者を楽しませた。恒例のグラスエリアでの見学も各回ともに盛況で、目の前を航空機が通過するたびに大きな歓声が上がっていた。

 ただヒコーキを見るだけでなく、学び、撮影し、そして支え手と交流する。今年の鳥取空港フェスタは、ヒコーキとの距離をぐっと縮め、その魅力を多角的に伝える素晴らしい1日となった。例年以上の賑わいを見せたこのイベントは、地域に根ざした空の祭典として、来年以降への期待が膨らむものとなった。

航空自衛隊のC-2輸送機をバックに、傘踊りの演舞が披露された。
9月20日、「鳥取砂丘コナン空港フェスタ2025」の会場で行なわれた「ヒコーキ写真セミナー&撮影会」。その講師を務めた鳥取空港を本拠地とする航空写真作家、T.Fujiba氏からレポートが届いた。

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