特集/本誌より

ここは香港国際空港、「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジ。キャセイ品質を体現する、くつろぎの空間で

新ビジネスクラス「アリア・スイート」の搭乗取材で到着した香港国際空港。成田への復路では、キャセイパシフィック航空イチ推しの「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジで、くつろぎのひとときを過ごした。

文:中西克吉 写真:中西克吉
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「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジ内、奥まったエリアにある「ティー・ハウス」。専門のスタッフが好みのお茶を丁寧に淹れてくれる。ラウンジ内の隠れ家的な落ち着いた佇まいにも心ひかれる。

高品質なラウンジもまた、キャセイを選びたくなる大切な要素

 高品質なサービス、豊富なネットワークなど、キャセイパシフィック航空の強みはいろいろあるが、大きなアドバンテージの1つがラウンジサービスの充実だ。

 なかでも本拠地の香港国際空港には、同社が誇る5つのキャセイパシフィック・ラウンジがある。「ザ・ウイング」および「ザ・ピア」のファーストクラスラウンジとビジネスクラスラウンジ、そして「ザ・デッキ」(ファーストクラス、ビジネスクラスともに利用可能)の5つである。

 今回の搭乗取材では、成田発の往路で新しいビジネスクラス「アリア・スイート」に、香港発の復路で新しいプレミアム・エコノミーに搭乗した。プレミアム・エコノミーは基本的にラウンジの利用対象ではないが、今回は取材のためにラウンジに入室することができた。

「ザ・ヌードル・バー」で大人気の担担麺とワンタン麺。羽田空港第3ターミナルの同社ラウンジでも同様のサービスを提供している。
もちろん、本場の点心も味わいたい。

キャセイのラウンジを象徴する「ザ・ヌードル・バー」 。茹で立ての担担麺やワンタン麺が大人気

 体験したのはターミナル1の65番ゲート付近に位置する「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジ。ここは香港にあるキャセイの5つのラウンジの中で最も広いラウンジで、総座席数は550、総床面積は3,306㎡に及ぶ。

 ロンドンを拠点に活躍するイルゼ・クロフォード氏が率いる「スタジオイルゼ」がデザインを手がけた空間は、高級感のある落ち着いたしつらえの中にも、まるで自宅のリビングにいるような居心地のよさを感じさせる。ラウンジ内には、飲食、リラクゼーション、ビジネスなど、搭乗前の旅客のニーズに応じたさまざまな施設とサービスが網羅されている。

 なかでもキャセイらしさを存分に発揮しているのが、香港の活気に満ちた街の通りの雰囲気が味わえるグルメだ。「ザ・ヌードル・バー」をはじめ、「フード・ホール」や「バー・カウンター」「ティー・ハウス」などが並んでいる。エントランスに近い「フード・ホール」は、バラエティに富んだ料理を用意し、パンやデザート類なども充実。アジアでよく見かける屋台からインスピレーションを得たコーヒー・カートもある。

 その先にあるのは、キャセイパシフィック・ラウンジを象徴する「ザ・ヌードル・バー」。ここでは人気の高いキャセイ特製の担担麵やワンタン麺などの麵料理をはじめ、点心や饅頭などが楽しめる。麺を茹でる湯気が立ちのぼるキッチンでは、何人ものスタッフが注文を聞きながら手際よく麺を用意していく。その様子を見ていると、まるで香港の街の人気の食堂にいるような気分になる。

 担担麵とワンタン麺、それに点心を注文。キャセイ特製のクラフトビール「ベッツィービール」も試してみた。麺も点心も掛け値なしに美味。特に担担麵は、細麺とごま、ピーナッツ、そしてホアジャオ(花椒)がほのかに香るスープの組み合わせが絶妙で、やみつきになる味だった。シトラスの芳香が特徴のペールエールの「ベッツィービール」とも相性がいい。

香港で醸造されたキャセイ特製のクラフトビール「ベッツィービール」。同社が導入した1機目の航空機であるダグラスDC-3の愛称「ベッツィー」にちなんで名付けられた。

10種類のお茶が楽しめる「ティー・ハウス」 は、間接照明がやさしく彩る安らぎの空間

 食事の後はティータイム。「ザ・ヌードル・バー」の奥へ進むと、間接照明で彩られたシックで落ち着いた佇まいの「ティー・ハウス」がある。

 ここには10種類のお茶の葉が用意され、好みのお茶を専門スタッフが丁寧に淹れて急須で提供してくれる。香港スイーツを代表するエッグタルトをはじめ、お茶に合うスイーツも各種ラインナップ。数種類のフレッシュスムージーが楽しめるのも、うれしいポイントだ。ラウンジの奥まったところにあるこの「ティー・ハウス」は、搭乗前に安らぎの時間を過ごしたい人、お酒を召し上がらない人にぜひおすすめしたい空間だ。

 これらの飲食施設に加えて、ソロシートがゆったりとした間隔で並び、搭乗前にひと仕事もできるシーティングエリア、リラクゼーションルーム、アメニティの整った全14室のシャワースイートなども完備。ここで一日過ごしたいとさえ感じるほど、居心地のいいラウンジだった。

 振り返れば、かつては上級クラス専用の待合室のような存在だったエアラインラウンジを、飲食やリラクゼーション、ビジネスなどの機能を備えた搭乗前の“オアシス”へと変えたパイオニアの1社が、他ならぬキャセイパシフィック航空だった。1998年開港の香港国際空港に、キャセイは世界最大級のロングカウンター「ザ・ロングバー」を備えるなど革新的なラウンジ「ザ・ウイング」を開設し、航空会社のラウンジの概念を大きく変えたのである。

 今回訪ねた「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジも、キャセイの独創性と革新性がいたるところに息づいている。エアラインファンの中には、「直行便があるけれど、ラウンジでくつろぎたいから、あえてキャセイの香港乗り継ぎ便を選ぶ」という声もあるとか。今回体験してみて、たしかに、と合点がいった。

ティー・ハウスでは香港を代表するエッグタルトをはじめ、お茶に合うスイーツが各種用意されている。
もちろん、香港のキャセイパシフィック・ラウンジの名物の1つともいえる本格的なバー・カウンターもある。キャセイ・オリジナルを含む各種カクテルなど、メニューも非常に充実している。
ミントの葉を添えた爽やかな味わいの「キャセイデライト」。キウイジュースがベースのキャセイ特製のノンアルコールカクテルだ。ビジネスクラスの機内でも提供。
このエスカレーターを下りると「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジのエントランス。
新ビジネスクラス「アリア・スイート」の搭乗取材で到着した香港国際空港。成田への復路では、キャセイパシフィック航空イチ推しの「ザ・ピア」ビジネスクラスラウンジで、くつろぎのひとときを過ごした。

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