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貨物社員がスキルを競う「JALCARGO グランドチャンピオンシップ」が開催! 幸せの黄色いコンテナも登場

普段私たちが利用する旅客機。その客室の下では、乗客が預けた荷物だけでなく、生鮮品や医薬品、精密機器など、さまざまな貨物が全国へと運ばれている。
こうした“空の物流”を各地の空港で支える、貨物現場の社員の知識と技量を競う「JALCARGOグランドチャンピオンシップ」が、羽田空港で開催された。全国の空港から選抜された選手社員の奮闘をレポートする。

文:林 岳児 写真:林 岳児
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全国34空港から集まった貨物現場社員と応援者がボーイング737-800をバックに記念撮影。

35人の精鋭貨物社員、そして激レア貨物コンテナが羽田空港に集結!

 JALは2025年11月19日、日本全国の貨物現場社員がスキルを競う、「JALCARGOグランドチャンピオンシップ」を羽田空港で開催した。3回目となる今回は、会場を新たに羽田空港のJAL格納庫へ移し、北は旭川、南は石垣まで、全国の空港から35人の精鋭スタッフが集結。5人1組、7つのチームに分かれて競技に臨んだ。

 競技内容は、貨物を基準通りに、且つできるだけ多くコンテナへ積み込む「CARGO SAFETY テトリス」や、日常業務を再現したデモンストレーションから危険行動を見抜く「リアル間違い探し」など全4種目。いずれも実際の運航現場さながらの設定で行なわれ、合計得点で順位を競った。

 また今回競技で使用された貨物コンテナには、JALが乳がんの早期発見、早期治療の大切さを伝えるために制作した「空飛ぶピンクリボンコンテナ」が7台、そして約7,000台のJAL国内線貨物コンテナの中で1台しか存在しない「幸せの黄色いコンテナ」が登場。これらのレアなコンテナ集結にも注目したい。

会場に7台用意された「空飛ぶピンクリボンコンテナ」。2023年に4台が登場して以来徐々に数を増やし、2025年4月からは24台を運用。各種イベントでも活用されている。

生ウニが勝敗を左右!?「CARGO SAFETY テトリス」

 最初に行なわれた競技は、大きさの異なる4種類の箱や高級海産物の生ウニ、そして取り扱いに注意を要する貨物を、1つのコンテナにいかに多く適切に積み込むかを競うもの。

 貨物コンテナは航空機の胴体形状に合わせて、下側がすぼまった独特の構造をしており、計画的な積み込みが欠かせない。さらにドライアイスやリチウムイオン電池、各種可燃物質を含む貨物は、安全確保のために定められた「隔離基準」を厳守しなければならず、まさに“テトリス”のような頭脳戦だ。

 また、今回審査側が重点項目とした海産物の「生ウニ」は、高価であるとともに、発泡スチロールからの水漏れのリスクもあり、この積載方法が勝敗を分けることになった。

競技開始直後、今回積み込む物品を確認。まずは物品ごとに規定を確認し、積載が可能であるかを判断。その後、隔離基準を満たすための搭載位置を検討する。
高級生ウニは、水漏れや他の貨物への汚損を防止するためにビニール袋で梱包を行なう。また発泡スチロールの破損を防ぐために、他の貨物より上部への搭載が求められる。
ウニの梱包と並行して、箱の積み込みがスタート。チーム一丸となって、1つずつ丁寧に作業を行なう。
コンテナ一杯に貨物の搭載を完了したGチーム。左から出雲空港の江角さん、広島空港の森川さん、伊丹空港の加嶋さん、羽田空港の山下さん、喜界空港の廣さん。

現場の“危険”を見抜け!「リアル間違い探し」

 2つ目の競技「リアル間違い探し」では、日常業務を再現したフォークリフト作業のデモンストレーションを観察し、チームごとに安全上問題のある行動を指摘していく。作業安全への深い理解と、細部まで見抜く観察力が試される競技だ。

ボーイング737-800をバックに、デモンストレーションがスタート。1台しかない「幸せの黄色いコンテナ」は、まさに“航空版ドクターイエロー”とも言える存在だ。
この状況から間違いに気づくことはできるだろうか。正解は、コンテナ内の段ボールに業務用携帯電話を置き忘れていること。日常生活でもつい見落としがちなミスだが、航空機の運航では重大な問題になる。電波を発する機器の所在が分からなくなると、該当者が作業したコンテナは再確認が完了するまで航空機に搭載できず、運航全体に影響が及んでしまう。
作業途中にフォークリフトを停めて話し合うシチュエーション。この状況にどのような危険があるだろうか。正解は、ハンドルを切ったまま、タイヤが曲がった状態で停車していること。もしそのまま気付かずに再発進すれば、フォークリフトが意図しない方向へ動き出し、思わぬ事故を招くおそれがある。

正確さと知識が勝敗を左右!「貨物受託チェック」と「クイズ大会」

 この後、会場は格納庫から室内へ移り、ドライアイスやリチウムイオン電池など、取り扱いに注意が求められる貨物の受託チェック競技が行なわれた。

 選手社員は荷主から提出された申告書を確認し、物品の数量やラベルの貼付状況を点検。引き受けの可否を判断したうえで、受託する貨物について機長に提出する書類を作成する。これらの正確さが採点対象となった。

 大会の締めくくりには、業務知識を問うクイズ大会がチーム対抗で実施され、会場は大いに盛り上がった。

チーム内で役割分担をしながら、貨物の内容確認、規定の確認、書類作成を実施。
荷主からの申告書類をもとに、貨物の内容、貼付されたラベルなどを確認。

優勝を飾ったのは、女満別・函館・釧路・羽田・山口宇部のDチーム!

 見事優勝を飾ったのは、女満別空港の相馬さん、函館空港の佐藤さん、釧路空港の小杉さん、山口宇部空港の讃岐さん、羽田空港の林さんからなるDチーム。冒頭の「CARGO SAFETY テトリス」と「貨物受託チェック」で高得点を出したことが優勝に繋がった。

 今回の大会では、日々の運航を静かに支える貨物現場社員たちの知識と技量が存分に発揮されていた。縁の下の力持ちとして、安全かつ正確に貨物を扱う彼らの努力こそ、私たちの安全な空の旅を支えている。

今回優勝を飾ったDチームが、JAL貨物郵便本部長 木藤さんと記念撮影。選手社員は左から相馬さん、佐藤さん、小杉さん、讃岐さん、林さん。1位から3位までのチームには、メダルと賞品が贈られた。
後半戦の舞台となったJAL SKY MUSEUMで記念撮影。

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