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水と光の都、ストックホルムへ——夏とクリスマス、二つの季節を歩く。直行便で広がる、新しい北欧の旅~旅のヒントBOOKより

文:田中 桜 写真:田中 桜
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こんにちは! 旅のヒントBOOK編集部です。
旅のヒントBOOKは主に現地在住者やその地のリピーターを著者に迎え、大切な友人を案内したいスポットを厳選してご紹介するガイドブックシリーズです。
現在、50を超える国と地域がラインナップしています。
さらに、このシリーズから派生した海外関連のさまざまな書籍を製作しています。

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今回は、スウェーデンのストックホルム在住で、北欧ヴィンテージ雑貨ショップを営む田中 桜さんによる現地レポートをお届けします。

水の都ストックホルム市内からは、周囲の島々にもボートで気軽に訪れることができる。30分ほどで行ける場所もあり、日帰りトリップにもぴったり。

 2025年、日本とスウェーデンを結ぶ直行便が就航し、これまで少し遠く感じていたストックホルムが、ぐっと身近になりました。北欧らしい静けさと洗練をたたえるこの街は、季節ごとにまったく違う表情を見せてくれます。

 今回は、夏とクリスマス、2つの季節のストックホルムをご紹介します。

白夜に包まれる、ストックホルムの夏

 ストックホルムは、大小14の島が橋でつながる“水の都”。街を歩けば、水辺がいつもそばにあり、湖や入り江が陽の光を受けてきらめきます。まるで街全体が、水の上にそっと浮かんでいるかのようです。

 夜が長い夏のストックホルムは白夜の季節。空と湖の深い青、そして太陽に照らされた緑が街を包み、カフェのテラスには人々の笑い声があふれます。観光地を駆け足で巡るよりも、街のリズムに合わせて歩く。そんな旅がこの街には似合います。

公園で日光浴を楽しむストックホルムの人々。水辺でなくても、水着でくつろぐ姿は夏の定番の光景。

 旧市街ガムラスタンの石畳を進むと、北欧デザインの店や小さなカフェが並びます。焼きたてのシナモンロールの香り、カラフルな建物の壁、古い扉の木のぬくもり。どこを見ても飾らない美しさがあり、「整っているのに自然体」という言葉がぴったりです。あえて地図を持たずに歩きたくなる街です。

 市内中心部から地下鉄で十数分も行けばすぐ森や湖が広がり、公園では水着で日光浴を楽しむ人々の姿も。自然と都市が寄り添うそのバランスこそ、北欧らしさの象徴かもしれません。少し足をのばして、街中から出るボートに乗り、点在する島々をめぐるのもおすすめです。

スウェーデンを代表するお菓子、シナモンロール。街じゅうのカフェで焼きたての香りが漂う。

灯りがともる、クリスマスのストックホルム

 雪の街をやさしく照らすマーケットの灯り。グロッグの香りが漂う冬の広場。冬のストックホルムは、夏とはまるで別の世界です。

 日が短くなる季節、人々は光を大切にします。窓辺にキャンドルを灯し、星形のランプを吊るす家庭。冷たい空気の中で、灯りがいっそう美しく輝きます。

 12月、ガムラスタンでは伝統的なクリスマスマーケットが開かれ、木の屋台にはジンジャークッキーやホットワイン“グロッグ”が並びます。カップを両手で包みながら一口飲むと、体の奥からあたたかさが広がります。雪が舞う街角を歩き、カフェの窓際で過ごす午後。派手なイルミネーションはなく、静けさの中にぽつりと灯る光。その光景こそ、ストックホルムの冬の美しさです。

スウェーデン最古のクリスマスマーケット、ガムラスタンにて。石畳の広場に温かな灯りがともる季節。

夏の透明な光、冬のやわらかな灯り————
どの季節も、ストックホルムは静けさと気品に満ちています。

空からはじまる旅の先には、心がゆるむような時間が待っています。
ぜひ次の旅は、新しい直行便で、“水と光の都”ストックホルムへ!

クリスマスが近づくと、ストックホルムの窓辺には星形のランプが灯り、街にやさしい光が広がる。

田中 桜/Sakura Tanaka
岐阜県出身。米国の大学卒業後、外資系IT企業でEC事業の戦略企画、一部上場企業の役員秘書などを経て2008年、夫の転勤を機に渡瑞。数年で帰国の予定が、スウェーデンにすっかり魅せられそのまま移住。現在一男一女の母。北欧ヴィンテージ雑貨のネットショップ「HokuoDesign Stockholm」を運営中。SNSでもスウェーデンの魅力を発信している。

YouTube SAKTA 北欧暮らしと旅とお茶時間
Instagram @hokuo_design_stockholm

旅のヒントBOOK『最新版 スウェーデンヘ——ストックホルムと小さな街散歩』

旅のヒントBOOK『最新版 スウェーデンヘ——ストックホルムと小さな街散歩』田中 桜著

ストックホルムの厳選スポットのほか、陶磁器の町グスタフスベリなどの街や、ゴットランド島、ダーラナ地方などもご紹介。さらに北欧ヴィンテージ雑貨ショップを運営する著者ならではの北欧ヴィンテージの魅力や選び方、注目ブランド紹介も掲載。幸福度の高いスウェーデン人の考え方やフィーカ文化など多面的な切り口のコラムも散りばめ、スウェーデンをたっぷり味わえる一冊です。

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