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55年後、2月9日のジャンボジェット /アシアナ航空最後の旅客型747(HL7428)
退役を前にラストスパート! アシアナ航空の旅客型747最終号機(HL7428)と成田空港45番スポットで対面したこの日は、偶然にも747初飛行からちょうど55年後の2月9日であった。
1969年2月9日初飛行、ジャンボ伝説のはじまり
1969年2月9日、民間航空史に大きな足跡を残すことになるボーイング747 “ジャンボジェット” の初号機が初飛行を成功させた。
開発ヒストリーをさかのぼれば、アメリカ空軍の超大型戦略輸送機計画CX-HLSがその発端にあり、同プロジェクトでロッキードに敗れたボーイングがそのノウハウを転用して開発したのが747であったこと、その開発を強く後押ししたのが当時エアライン界で絶大な存在感を誇ったパンアメリカン航空のファン・トリップ会長であったことは有名な話だ。そして、当初ボーイング自身はこの747が超音速旅客機(SST)の時代への “つなぎ” に過ぎないと考えていたことも、今ではよく知られた航空の史実である。
ボーイングとしては、SSTが国際線の主力となる時代が訪れたあとは747の存在意義も薄れ、主な活躍の場は旅客機ではなく貨物機へと移行するだろうとの見立てであった。しかし結果としてSST主流の時代が訪れることはなく、ボーイングが開発に取り組んだモデル2707も実用化には至らなかった。
その後のボーイング747はアッパーデッキの延伸(-300型:1982年初飛行)や、グラスコクピットへの換装と2名乗務化(-400型:1988年初飛行)、そして、さらなる大型化と新エンジンによる効率化(-8型:2010年初飛行)など、長大なモデルライフを通じてたゆまぬ進化を重ねていくことになる。
去りゆく、憧憬のクイーン・オブ・ザ・スカイ
しかし、長距離国際線においても双発エンジンの新型機が続々と就航し、また双発機の長距離飛行範囲(ETOPS)が拡大してゆくなかで、2000年代以降、旅客型のボーイング747たちは徐々にその活躍の場を縮小していく。近年は新型コロナウイルスのパンデミックがその潮流に拍車をかけ、現在ではごく限られたオペレーターが運航するのみとなった現状については、2024年1月発売の月刊エアライン3月号「ボーイング747の最前線」に詳しい。
一方で、747誕生時のボーイング社の見立て通りに根強い需要とオペレーターの信頼を勝ち得てきた貨物型は今も多くが活躍しているものの、2023年1月にラストデリバリー(747最終1,574号機)を迎えるなど、双発エンジンの後継機へと移行するフェーズに入った。
そんな状況があるだけに、ボーイング747の初飛行から55年後の同じ日、2月9日に成田空港45番スポットで会った今や貴重な747-400の旅客型は、とりわけ印象深く取材者の目に映った。
アシアナ航空で最後に残った旅客型ジャンボ、HL7428である。同社の貨物型はまだしばらく活躍するそうだが、この旅客型は今年3月をもって退役を迎える。最後のシーンを記録しようと、ここしばらくは成田や新千歳で747を愛する日本のファンたちの熱い視線を集め、とりわけホットな機体であった。「最後にHL7428を乗ること」を目的として仁川へと飛んだファンも、決して少なくはなかったようだ。
HL7428の勇姿、克明に取材中!
スポットで待つ取材者のもとに、CF6らしいサウンドを響かせながら迫るHL7428。逞しいランディングギア、エアラインのカラーも鮮やかにそびえる主翼端のウイングレット、迫力やボリューム感だけではない、包み込むような優美さを兼ね備えた747ならではのスタイルを前にして、思わず時間を忘れた。
月刊エアラインではアシアナ航空の協力を得て、このHL7428の最後の姿を克明に記録している。もちろんその模様は、今後の月刊エアライン誌面でしっかりとお伝えするつもりだ。やっぱりジャンボはいい。