航空旅行

台湾航空業界の新星、スターラックス航空のビジネスクラス体験

身近な海外として人気なのが台湾です。
異国情緒が感じられるのはもちろんですが、小籠包やタピオカ、台湾カステラなどグルメも魅力的ですよね。
そんな台湾に2020年に誕生したエアラインがスターラックス航空です。
ハイクオリティなサービスを売りにしており、『航空旅行』でも取材しましたが、そんなスターラックスのビジネスクラスのフライトを、
vol.44』で掲載した記事を再編集してお届けしましょう。
※この記事は『航空旅行vol.44』(2023年1月発売)から抜粋・再編集したものです。

文:本城善也 Text by Yoshiya Honjo 写真:大橋マサヒロ(特記以外) Photo by Masahiro Ohashi
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JX _A330neo
スターラックス航空は写真のエアバスA330neoのほか、A350-900、A321neoを運航。いずれもエアバス社の最新鋭機で、日本路線にはすべての機種が投入されている。
Photo:AIRBUS

航空を愛する張会長の理想を体現

 スターラックス航空は2020年1月23日から運航を開始した台湾の新興エアラインだ。桃園国際空港からマカオ、ダナン、ペナンの3路線同時開設から始まった同社の歴史は、その後本格化したコロナ禍の中にあっても果敢に前進を続け、日本路線は同年12月15日の関西線を皮切りに、翌16日には東京(成田)線を開設、現在は福岡、新千歳、那覇、さらに函館、仙台、中部(名古屋)、熊本にもネットワークを拡大している
 スターラックス航空はまだ創業からまもないし、運航開始後もすぐにコロナの影響受けたので、もしかすると初耳の人も少なくないかもしれない。しかしその実力はエアラインのサービスをメインコンテンツとする小誌からしても注目したくなるものばかりだ。端的にいうと、乗客としてエアラインとの接点になる一つひとつのサービスが充実しているのである。
 その背景には、創業者であり、現会長である張國煒氏の思考が大きく反映されているのは間違いないだろう。張会長の父親はエバー航空を傘下に持つ世界的な巨大海運企業、エバーグループの総裁であった張榮發氏で、張会長は大学卒業後、エバー航空に就職し、経営幹部も務めながらボーイング777の機長としても飛んでいた(さらに777の整備士資格も持っている)。しかし2016年に張榮發氏が亡くなるとエバー航空を離れ、改めて自身の飛行機に対する愛情から設立したのがスターラックス航空なのである。そんな“航空ファン”の張会長だからこそ、スターラックス航空は自身が理想とするエアライン像を体現したものであり、その思いがサービスの端々に感じられるのであろう。

成田〜台北線、A330neoのフライト

 さて今回は、そんなスターラックス航空の成田〜台北(桃園)線のルポをお届けしたいと思う。2024年9月時点では毎日3便が運航されており、同社が保有するA350-900、A330neo、A321neoのすべての機種が投入されている。ここで紹介するのはA330neoのフライトだ。
 成田空港では第2ターミナルを使用し、取材時のチェックインはQカウンターで行っていた。チェックインはクラス別に分けられ、ビジネスクラスは専用カウンターが用意されているのでスムーズに搭乗手続きは完了する。成田でのラウンジはJALのサクララウンジが指定されていて、作りたてをスタッフが用意してくれる「JAL’s Table」のメニューから、定番のビーフカレーなどを味わいながら出発の時を待った。ちなみにJALのラウンジは飲食メニューが充実しているので、もっと別のメニューも試してみたかったのだが、スターラックス航空は機内食も充実しているらしいので我慢である。

A330neo at NRT
成田で出発準備を進めるA330neo。2024年9月時点では、JX801便は14:00発で、長距離路線にも投入されるA350-900での運航となっている。

長距離路線でも通用するシート

 13時30分、台北行きJX801便の搭乗が始まった。ビジネスクラスはシートが1-2-1の横4席がジグザグにレイアウトされるスタッガード配列となっており、全席から直接通路にアクセスできる。シートそのものはシルバー色のシェルに覆われ、広いサイドテーブルを完備。サイドテーブルの表面にはスマートフォンのワイヤレス充電機能も付いていて、ワイヤレス充電に対応している機種であれば、テーブルの上に置いておくだけで充電してくれる。個人用モニターは17.3インチで、画質は高精細な4K。コントローラーの他にタッチパネルでも操作でき、言語選択では日本語もあるので、思うままに見たい番組を表示することができた。またビジネスクラスは機内Wi-Fiも無料で利用できる。
 座席に落ち着くと、キャビンクルーのナンシーさんがウェルカムドリンクとおしぼりを持ってきてくれた。ウェルカムドリンクは「コールドプレスパインマンゴーミックスジュース」で果汁100%のフレッシュジュース。これはスターラックス航空専用に開発されたもので、パインとアップルマンゴーの濃厚な味わいにさっそく同社のこだわりを感じる。

A330neo_Cclass
ビジネスクラスは1-2-1の横4席で28席の設定。使い勝手のいい広いサイドテーブルがある大型シートで、約4時間のフライトでは十分すぎるくらいの豪華仕様だ。
A330neo_fullflat
背もたれを完全に倒し、フルフラットにした状態。長距離路線でも十分に対応可能な、シートとしては極めて贅沢な仕様と言えるだろう。毛布や枕もふわふわで上質。個人用モニターは17.3インチで、画質は4Kで。タッチパネルでも操作できる。
pinemix
ウェルカムドリンクの「コールドプレスパインマンゴーミックスジュース」。台湾のゴールデンダイヤモンドパインをベースにアップルマンゴーを加えた同社オリジナルだ。

エアバスA330neoのエコノミークラス

 スターラックス航空は、エコノミークラスも充実している。まずシートは13.3インチの大型個人用モニターを装備した最新のスリム型で、好みの位置に調整できるヘッドレストや充電に使えるコンセントとUSBポートも用意。個人用モニターはBluetoothを搭載し、機内に持ち込んだ私物のヘッドホンを接続することもできる。機内Wi-FiもLINEやメッセンジャーなどで文字のみの送受信であれば無料だ。
 機内食でも、台北発では焼き肉の名店「胡同焼肉」監修のメニューを用意。またエコノミークラスでも機内食の事前予約をすることができる。

A330neo_Yclass
シートはドイツ・レカロ社製の薄型リクライニングシートで、シートピッチは31〜32インチ(約79~81cm)。ヘッドレストは好みの位置に調整可能。
Yclass_monitor
13.3インチ個人用モニターの下から引き出して使えるのはタブレットホルダー。

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機内食の事前予約は全乗客が可

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