連載
トルコのAJet搭乗“前”ルポ。サビハ・ギョクチェン空港で過ごした1日
月刊エアライン編集部の日々のヒコーキ活動をユル〜く紹介する連載「ある日のヒコ活」。今回は、夏にイスタンブールからアムステルダムへ移動する際に遭遇した、出発前のドタバタ劇を紹介するフライトレポートならぬ、フライト“前”レポートです。
トルコ→オランダのチケットが高すぎて…行き着いたAJet
夏にトルコのアンタルヤやイスタンブールを訪れた筆者。次の目的地であるオランダへ向かうフライトを探したのですが…ヨーロッパ各国の夏休みの終わりとタイミングが被り、どのキャリアも高い高い。そんなとき、ふと目に止まったのが、比較的良心的な値段だったAJet(ア・ジェット)という航空会社。普段まず乗る機会がないエアラインなのはもちろん、出発空港がメインのイスタンブール空港ではなく、これまたなかなか利用機会がないサビハ・ギョクチェン空港というのも決め手となり、チケットを予約してみることに。
AJetと聞いてピンとこない方には、2024年初頭までアナドルジェット(Anadolu Jet)だった会社と言えば…それでもピンとこないですよね(笑)。でも、実はアナドルジェット→AJetはあのトルコが誇るフラッグキャリア、ターキッシュ エアラインズの傘下のLCC。トルコ国内線のほか、トルコと中東やヨーロッパを結ぶ路線を運航。737-800とA321を80機以上保有するなど、結構な規模を誇る会社です。
バスで大陸を渡り、出発地のサビハ・ギョクチェン空港へ
そんなAJetに乗るため、イスタンブールのヨーロッパ側の中心地、タクシム広場からバスに乗車。揺られること50分、サビハ・ギョクチェン空港に到着しました。途中、ヨーロッパからアジアへと渡る橋を通過したのですが、国境を陸路で越えること自体が珍しい島国の人間としては、大陸間を陸路で移動するというのは不思議な経験です。しかも、数時間後にはまたヨーロッパに戻るというのに。
トルコの空港はターミナルへ入る際に、一度すべての荷物を検査されます。無事にパスしAJetのカウンターへ向かうと、自動チェックイン機があったのでチェックイン。LCCなのでサービスはすべて有料で、預け入れ荷物のオプションだけは予め購入していました。一方、座席指定はしていなかったので、とりあえず割り当てられた座席を見てみると…見事にど真ん中! さすがにアムステルダムまで4時間、知らない2人に挟まれるのはキツいので、仕方なく有料で座席を指定します。
印刷されたバゲージタグを取り付け、自動荷物預け入れ機にスーツケースを託したら、早速保安検査&出国審査へ。そしてゲートエリアへ進むと…人、人、人の嵐! お店がここに固まっているだけでなく、出発時刻が近くならないとゲートが確定しないため、とにかくこの中央のエリアに人が滞留しているのです。しかもどのお店もトルコの物価とは思えない“ザ・空港価格”。本当は節約したいけど……朝から何も食べていなかったので、フードコートで軽くお昼とすることに。
いよいよ搭乗して出発、と思いきや……
食べ終わったあとはヒコーキ撮影を……と思ったのですが、突然の大雨で目の前の誘導路すら見えない状態に。仕方なく空いているゲートで時間を潰したあと、出発ボードを見ると、本日搭乗するVF3便のゲートが確定していました。バスゲートです。
1階のバスラウンジに降り、504A番ゲートからほぼ時間通りにボーディング。改札を通過してバスへ乗り込みます。ターミナル西端のオープンスポットに駐機していた機体の横でバスは止まりましたが…塗装が真っ白!
タラップを上がってみると、L1ドア横には「Operated by BBN Airlines(BBNエアラインズによる運航)」と描いてありました。ヨーロッパの航空会社では機材不足を補うため、リースを専門とする会社から機材をACMIリース(※)するのが一般的で、今回はたまたまそのリース機に当たったのです。
※Aircraft(機体)、Crew(乗員)、Maintenance(整備)、Insurance(保険)の4つを一括で貸し出すこと。
ちなみにBBNエアラインズとは、2021年に設立されたトルコを拠点とするACMIリースやチャーター専門の会社です。旅客機は2024年11月現在A321×5機、A320×2機を保有。ほかに貨物機としてA321P2Fも3機運航し、将来的には777-300ERの貨物改修型も導入予定です。
自席についてしばらくすると、ボーディングも完了。ですが、待てど暮らせどドアが閉まりません。やがて「BBN Airlines」と書かれた蛍光ベストを着た整備士が乗り込んできて、もしやこれはと思いきや…直後のキャプテン・アナウンスで嫌な予感が的中。機材トラブルです。
詳細は明かされなかったものの、明らかに解消に手こずっている様子。すでに30分以上遅れていたため、興奮した乗客の何名かが「降ろせ」と怒鳴り出し、キャビンは修羅場と化します。そして、結局不具合は解消せず、乗客全員は一旦降りてターミナルに戻ることに。苛立ちを露わにしながら降りる人もたくさんいましたが、安全第一なので仕方がありません。
ターミナルに戻ったのは14時50分ごろでした。聞けば代替機を手配していて、再出発は16時を予定しているとのこと。ゲート横の売店で1人1本、ドリンクが無料で提供されたので、受け取ってしばしターミナル内を散策します。すると、ある珍しい機体がスポットインしているのが見えたので、ダッシュで当該機のゲートへ。
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今度こそアムステルダムへ! でも機体はまた…
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