機体後部に「CONTRAIL」のロゴが追加されたJA868J。
777時代からマイナーチェンジが施された「CONTRAIL」のロゴ。
機体後部の「CONTRAIL」ロゴと、登録記号の「JA868J」。
機体後部に「CONTRAIL」のロゴが追加されたJA868Jを機体後方からのぞむ。
777では、8機の777-200ERと2機の777-300ERに観測機器を搭載。しかしながら2025年11月時点ではそのほとんどが退役し、JA733Jを残すのみとなっていた。
これまでJAL機によって観測を行なった都市と、各都市における観測回数。大気は東西方向にはよく混ざるため、地球規模の傾向を知るには南北分布の把握が重要。そのため海外ではシドニーでの観測回数が1,500回以上と多いのが特徴的だという。
787-9への機器搭載によって観測可能となる都市の一覧。世界の広範囲を網羅しており、特に赤道域や北極圏、シドニーよりも南に位置するメルボルン、これまでデータ空白地帯だった中東地域での観測に期待を寄せている。
国立環境研究所 地球システム領域 地球環境研究センター 特命研究員の町田敏暢氏は、「鉛直分布の大気観測は飛行機ならでは。地上観測では絶対に得られない情報で、世界的にもデータが少なく非常に貴重。毎日のようにデータを取れるのが夢のよう」とコメント。
JAL財団(旧・日航財団)設立に携わり、航空機を活用した大気観測の立ち上げメンバーでもあった、JAL 広報部 アーカイブズグループ 伊藤勝久氏は当時の苦悩を振り返り、「気象研究所の先生からの“最低でも10年続けなければ意味がない”という言葉は非常に重かった。スキームは成功し、結果として30年近く継続している」と語った。
機体の改修内容を解説する、JALエンジニアリング 技術部長の鈴木正美氏。今回の改修にあたっては、観測装置の開発・製造をジャムコ(日本)が、機体改修・搭載に関する設計をボーイング(米)が、装置周辺の配線・配管設計をJamco America(米)が担当した。
観測装置に大気が送られる仕組み。胴体下部の外気取り込み口から入った空気は客室と操縦室へと分かれるが、客室の空気は循環空気であるため観測には使用せず、操縦室へ送られる空気を活用する。
観測装置は前方貨物室に搭載。上空12地点の空気サンプルを採取し、CO₂やメタンなど複数の物質の濃度を観測できるASE(Automatic Air Sampling Equipment)と、飛行中に連続してCO₂の濃度のみを測定・記録するCME(Continuous CO₂ Measuring Equipment)という2種類の装置が組み込まれている。
787の胴体下部、主翼の付け根付近に位置する外気取り入れ口。
TOPニュースJAL、ボーイング787-9「CONTRAIL」特別塗装機をお披露目。12月4日から国際線で観測スタート