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約21年にわたる活躍に幕。JAL ボーイング777-300ERの導入初号機、JA731Jがラストフライト!

21年前の2004年6月15日にJALが受領し、2004年7月1日の成田=シンガポール線でデビューした777-300ER。その導入初号機であるJA731Jが5月27日、営業便としてラストフライトを迎えた。

文:芳岡 淳/本誌編集部 写真:芳岡 淳(特記以外)
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最後のフライトを終え、羽田空港RWY34Lに到着したJA731J。

JALの長距離路線を長年支えた立役者

 約21年にわたり、おもに欧米線などの長距離国際線を中心に活躍してきたJALの777-300ER。後継機であるA350-1000の導入に伴い、2024年8月にはJALが全13機導入した777-300ERのうち、4号機(登録番号JA734J)が初の退役機となり、今回2番目の退役機として、導入初号機(登録番号JA731J)がその役目を終えることとなった。

 JALの発表によると、5月27日到着時点における飛行サイクル(エンジンを起動して離陸し、着陸後エンジンを停止するまでのプロセス)は10,604回、飛行時間は約8万7610.85時間にも及んだという。長年にわたる活躍ぶりは、その数字を見ても明らかだ。

一足早く2024年8月20日に退役を迎えた、JA743J。
Photo:Ito Hisami

ライトフライトは羽田=上海(浦東)線

 JA731Jのラストフライトとなったのは、5月26日羽田発上海(浦東)行きJL89便と、その折り返しとなる翌27日上海発羽田行きJL80便。当初の計画では、羽田=ロサンゼルス線JL15/16便で最後の運航となる予定だったが、機材繰りの関係から羽田=上海線がラストフライトの舞台となった。

 往路便となるJL89便は、26日午後5時29分に122番スポットから乗客227名(他に幼児1名)を乗せ、羽田空港RWY05をテイクオフ。約2時間44分かけて、現地時間の午後7時36分、上海浦東国際空港に到着した。

 JL89/80便は、上海でナイトステイする便として運航されており、短距離路線ながら羽田空港に戻ってくるのは翌日の13時頃になる。営業運航最終便となったJL80便は、27日午前9時44分に乗客136名(他に幼児1名)を乗せて上海浦東国際空港を離陸。約2時間7分の飛行を経て、午後12時51分に羽田空港のRWY34Lへランディング。その後、午後12時57分、展望デッキの目の前に位置する111番スポットに到着した。

5月27日のJL80便で羽田空港に到着し、111番スポットへタキシングするJA731J。
111番スポットでは大勢のJAL社員が出迎えた。
ラストフライトを終え、111番スポットに到着したJA731J。
写真提供:JAL
JA731Jおつかれさまでした、の特製パネルで感謝の気持ちを伝えた。
写真提供:JAL

多くの人から愛された1機。ランプも展望デッキも惜別ムード

 JL80便を担当した藤田機長と片井機長は、「ラストフライトということを意識することなく、通常通りのフライトを心掛けました。大きな揺れもなく安全に何事もなく到着できよかった」と振り返った。

 ランプでは、運航乗務員や整備士をはじめ、グランドスタッフや777運航乗務部業務企画職など30名ほどの社員が出迎え、JA731Jのラストフライトを労った。

 また、最後にJA731Jの勇姿をもう一度見ようと、羽田空港第3ターミナルの展望デッキには平日にもかかわらず大勢のファンが詰めかけた。

 時折、展望デッキに集まったファンに向けてJALのスタッフたちが手を振って一礼するなど、温かい交流が見られるシーンもあり、濃密な時間となった。

 JA731Jは数か月かけて売却に向けた整備が行なわれたあと、アメリカへとフェリーされる予定。今後の動向は未定だが、この先も明るい未来を期待したい。

JALでのラストフライトを担当した運航乗務員、藤田機長(左)と片井機長(右)。
写真提供:JAL
JALのスタッフとともに、ファンに向かって感謝を伝える運航乗務員の皆さん。
写真提供:JAL
JA731Jを大勢のファンが展望デッキで出迎えた。
展望デッキで出迎えたファンへ感謝の気持ちを伝えるJALのスタッフ。
21年前の2004年6月15日にJALが受領し、2004年7月1日の成田=シンガポール線でデビューした777-300ER。その導入初号機であるJA731Jが5月27日、営業便としてラストフライトを迎えた。

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