連載

アンテナの形状や大小は、電波の波長や用途によって異なる~ 連載【月刊エアライン副読本】

文:阿施光南 写真:阿施光南
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【連載】ヒコーキがもっと面白くなる! 月刊エアライン副読本
「空のエンターテインメント・メディア」として航空ファンの皆さまの好奇心と探究心にお応えすべく、航空の最前線、最先端技術などを伝えている月刊エアライン。そんな弊誌でテクニカルな記事や現場のレポートを中心に執筆に携わる阿施光南氏が、専門用語やテクノロジーをやさしく紹介するオリジナルコラムです。

旅客機の背中には、さまざまなアンテナがついている。
旅客機の背中には、さまざまなアンテナがついている。それぞれの形や大きさには電波の波長や用途に応じた理由がある。

 アンテナは電波を受信したり送信する装置だ。基本的には電波の波長が長いほど、アンテナも長く(大きく)なる。旅客機には色々なサイズのアンテナがついているが、それだけさまざまな波長の電波が使われているということだ。

ボーイング737NGから派生した米海軍の多目的哨戒機P-8。
ボーイング737NGから派生した米海軍の多目的哨戒機P-8。びっしりと増設されたアンテナがその任務の多彩さを推測させる。

 飛行場管制やターミナルレーダー管制、航空路管制で使われている電波は、民間機ではVHF(Very High Frequency)だ。直訳すると「とても高い周波数」となるが、日本では「とても短い波長」を意味する「超短波」というほうが多い。

 電波の周波数と波長は反比例し、どちらかが決まればもう一方も決まる。つまり、「とても高い周波数」と「とても短い波長」は同じ意味と考えてもいいのだ。

VHF無線機用のアンテナ。
VHF無線機用のアンテナ。高さは30㎝たらずで、無線機それぞれにアンテナがあり、胴体上に2つ、胴体下に1つ装備するものが多い。

 VHF無線機のアンテナは長さ20~30cmのミニ尾翼のような形が一般的で、無線機と同じ数(3台または2台)が装備されている。ただしVHFは見通し距離しか届かないので、長い洋上飛行などではHF(High Frequency。短波)無線機の装備も義務づけられている。

ボーイング747クラシックの翼端から後方に伸びる棒状のHFアンテナ。
ボーイング747クラシックの翼端から後方に伸びる棒状のHFアンテナ。他には707やC-1のように垂直尾翼上部に前向きに装備する例も多い。

 HFは上空の電離層などで反射して、より遠くまで届くという性質があるが、VHFよりも波長が長いために長いアンテナが必要になる。特に目立つのはボーイング747クラシックの翼端にある棒状アンテナだが、他の旅客機の多くは垂直尾翼の前縁に埋め込んでいる。

最近の旅客機は、HFアンテナを垂直尾翼の前縁に沿って内蔵している。
最近の旅客機は、HFアンテナを垂直尾翼の前縁に沿って内蔵している。ただし国内線の短距離機には装備しないことが多い。

 VHFよりもアンテナが小さいのがUHF(Ultra High Frequency。極超短波)で、手のひらで隠せる程度の大きさだ。UHFを使う主な装置はDME(距離測定装置)やATCトランスポンダー、TCAS(空中衝突防止装置)で、DMEは地上局からの距離を測定する。

画面左側に見える黄色い突起がDMEアンテナ。
画面左側に見える黄色い突起がDMEアンテナ。波長の短いUHFを使っているので、中央のVHFアンテナと比べるとかなり小さい。

 ATCトランスポンダーはレーダーからの質問電波に対して自分の情報を応答電波として返すもので、それによって管制用モニターには便名や位置、高度などが表示できる。またATCトランスポンダーは空港内で航空機の位置を示すマルチラテレーションでも使われている。

 TCASはATCトランスポンダーの機能を拡張したものといえるが、これは航空機同士が質問電波と応答電波を出し合うことで互いの位置や接近状況を知り、衝突の危険があると判断したときには警告や回避指示を出すものだ。

A380の胴体下にある、2つのDMEアンテナ(黄色)と、その間にTCASのアンテナ。
A380の胴体下にある、2つのDMEアンテナ(黄色)と、その間にTCASのアンテナ。TCASのアンテナはトランスポンダーと兼用できる。
TCASアンテナのカバーを外したところ。
TCASアンテナのカバーを外したところ。内部は4つに分かれており、それぞれが受信する電波の強弱から相手機の方向を知る。

 さらに波長が短いSHF(Super High Frequency。マイクロ波)は、気象レーダーや電波高度計、衛星通信(洋上管制や機内インターネット通信など)で使われている。電波は波長が短い(周波数が高い)ほど多くの情報を送れるが、障害物に邪魔されやすいという性質もある。それを利用して気象レーダーは空中の雨粒などを感知するわけだ。

機首に装備された気象レーダー。
機首に装備された気象レーダー。実際にはさらにレドームでカバーされる。波長が短いため空中の雨滴などを感知できる。
胴体下に設けられた電波高度計のアンテナ。
胴体下に設けられた電波高度計のアンテナ。送信用と受信用がセットになっており、2セット装備することで冗長性を高めている。
胴体の上でひときわ大きいのがインターネット用のアンテナを収めたフェアリング。
胴体の上でひときわ大きいのがインターネット用のアンテナを収めたフェアリング。内部はメーカーによってさまざまだが、画像のものは白いアンテナ部分を機械的に衛星方向に向けたうえでさらに電子的に微調整する。

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