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JALらによる「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」が採択、社会実装へ

晴天乱気流による揺れをリアルタイムで予測し、安全性向上と環境負荷低減に貢献

文:本誌編集部
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 日本航空(JAL)、国立大学法人東北大学、株式会社ウェザーニューズ、 DoerResearch株式会社は、2024年12月より「リアルタイム乱気流予測プロジェクト」を開始し、国土交通省の「交通運輸技術開発推進制度」に採択された。 2027年以降の社会実装に向けて航空運航の安全性向上と環境負荷低減の実現を目指す。

晴天乱気流がもたらす安全課題と背景
 晴天乱気流は、晴天時の高高度で発生し、視覚的な兆候がほとんどない乱気流である。
 レーダーでも捉えにくいため予測が難しく、航空機や乗員・乗客に危険を及ぼすおそれがある。近年、国内航空事故の約55%が乱気流に起因しており、地球温暖化の影響によって過去40年間でその発生頻度は約55%増加している。こうした背景から、安全確保と効率的な運航の両立課題となっている。

プロジェクトの概要
 従来の乱気流予測システムは、広範囲データの更新頻度が低く、変化する空の状況を十分に反映できていない。
本プロジェクトでは、地球規模の気象データや高解像度気象解析に加え、飛行中の航空機から取得されるリアルタイムフライトデータを活用。さらに機械学習(AI)によって情報を統合することで、AI統合型リアルタイム乱気流予測システムの構築を目指している。

 このシステムにより、国際線のような長距離フライトや、海上など観測データが限られる地域でも、高精度かつ最新の乱気流予測を提供可能となる。結果として、高度変更や余剰燃料搭載の抑制による燃料の削減、CO₂排出の低減など、環境・経済両面での効果も期待される。

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