特集/本誌より
珍しいエアラインにハイブリッド塗装も。夏のヨーロッパに出現する変わったヒコーキたち
多くの人がバカンスに出かける夏のヨーロッパでは、航空需要も一気に増大する。それを少しでも取り込もうと、リゾート地への便を多く持つLCCやホリデーエアラインを中心に、各社は自前の機材のみならず、他社から機体をリースして対応する。これらの機体は珍しい航空会社のものであったり、また不思議なカラーリングであったりなど、スポッターにとって良い被写体となるとともに、運航会社やリース元などを探ってみるのも面白い。この夏、欧州各地でさまざまな機体を捉えたチャーリィ古庄氏が、こうしたリース機の魅力やその背景にある事情を解説する。
夏休みが長いヨーロッパ、その需要に応えるエアライン各社
我々日本人と違い、ヨーロッパの人々は夏休みに1~2か月という長期休暇を普通に取る。そうなると地元を離れてリゾート地に行きたくなるだろう。その需要に応えるため、夏季には旅行会社が1機丸ごと貸し切って販売するチャーター便の運航が多いほか、歴史的に見てもヨーロッパでは旅行会社がチャーター便やリゾート地行きの便を専門とするホリデーエアライン(一部定期便も運航)を設立するケースが多い。
近年で言うと、例えばホテル運営やクルーズ船運航も行なうドイツの大手旅行会社TUIは、TUIフライ・ドイッチュラント(ドイツ)、TUIフライ・ベルギー、TUIフライ・ネーデルランド(オランダ)、TUIフライ・ノルディック(北欧4か国)、そしてTUIエアウェイズ(イギリスとアイルランド)などの航空会社を傘下に持つ。
さらに2019年に経営破綻したイギリスの名門旅行会社トーマスクックは、イギリス(トーマスクック・エアラインズ)などに航空会社を持っていたほか、ドイツのコンドル航空を傘下に置いていた。また、これらの航空会社に機体をリースすることを目的として設立されるエアラインもあるくらい、夏はチャーター便の需要が旺盛なのだ。
ヨーロッパ内からカリブ海まで、目的地はさまざま
これらの夏に特化したフライトは運航する季節や曜日が限られ、例えばTUIの公式Webサイトを見ると、5〜6月や9〜10月まで、週の特定の曜日のみ運航されるフライトが多い。目的地はが地中海に浮かぶイビサやマヨルカといったスペインの離島、コーフなどのギリシャの島、大西洋に浮かぶフンシャル(ポルトガル)、グランカナリア、テネリフェ(スペイン)などのリゾート地がほとんど。
またヨーロッパに限らず、ビーチリゾートであるエジプトの観光地、フルガダやシャルム・エル・シェイクなどへ飛ぶフライトも多数運航される。さらには大西洋を越えてキューバやカリブ海へと飛ぶフライトもあるが、カリブ海にはイギリス、フランス、オランダ領の島々もあるので、距離は遠いがヨーロッパの人にとっては国内旅行の感覚なのかもしれない。
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繁忙期に使われる機体、夏以外はどこを飛んでいるのか