最近の旅客機では客席の個人モニターでも飛行状況を確認できるものがある。左のリボンは対気速度(452kt=837km/h)を示しているが、その下にGSPDとして対地速度(403kt=746km/h)が表示されている。つまり向かい風成分が91km/hあるということだ。
現代ではGNSSなどにより対地速度は自動的に表示されるが、訓練では上空で実際の所要時間などから対気速度を計算し、事前に作った飛行計画を補正していく。操縦しながらの計算は、なかなか大変な作業となる。
地上にレーダーを向けその周波数の変化から対地速度などを測るドップラー航法装置は、JALが最初に導入したDC-8にも装備されていた。
747では加速度計を使ったINS(慣性航法装置)が装備されるようになった。加速度は積分すると速度になるため対地速度を計算でき、さらに積分すると移動距離を求められる。現在ではIRS(慣性基準装置)としてGNSSを補完するためなどに使われている。
A320のND(ナビゲーション・ディスプレイ)には、PFD(プライマリ・フライト・ディスプレイ)の表示とは別に、対地速度(GS)や真対気速度(TASQさまざまな補正を加えて正しい数値とした対気速度)、そして周囲の風向風速までが表示されるようになっている。
TOP連載一覧正確な対地速度なくして正確な航法は実現しない ~ 連載【月刊エアライン副読本】